沈黙する記憶
どうして裕斗は泣いているんだろう?


裕斗が、あたしがここにいるって気が付いて助けにきてくれたんだよね?


これであたしは助かるんだよね……?


すでに手足を切断され、かろうじて意識だけ残っている状態のあたしはぼんやりとそんな事を考えていた。


どう考えても助からない。


このまま死ぬだろう。


そんなあたしを目の前にして泣いているなんて、思ってもいなかった。


「ごめん……ごめん千奈。もう少し早く気が付いていれば……」


裕斗の手は優しくあたしを抱きしめた。


克矢みたいに乱暴で冷たい手とは違い、暖かくて愛情を一杯感じることができる手……。


あたしは安心してしまい、とうとう目を閉じてしまったのだった……。



END

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