沈黙する記憶
☆☆☆

6人で杏を探しても、杏はどこにもいなかった。


今頃警察も動いているかもしれないが、杏の両親からも何の連絡も来なかった。


あっという間に日は暮れて、辺りは真っ暗になって行く。


「今日はもうやめておこう」


そう言ったのは夏男だった。


何度も同じ場所を探しても意味がないと感じたのか、脱力したように道の途中で立ち止まった。


「夏男……」


「そうだな。夏男は眠っていないようだし、無理はよそうか」


裕斗がそう言い、あたしの肩を軽く叩いた。


裕斗の言葉はあたしにも向けられているのだと言う事がわかった。
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