沈黙する記憶
杏とあたしは背丈も体格も似ているから、歩幅も杏に近い。


あたしが杏の家から夏男の家まで歩く時間を計測するのだ。


それと同時に、道のりに杏がいなくなったヒントになるようなものがないかどうか、探す予定だった。


素人のあたしたちにできる事なんて限られているけれど、警察に任せきりで何もせずにいるなんて耐えられなかった。


あたしはご飯もそこそこに出かける準備を進めて、早く時間が来ないかと落ち着かない気持ちで時計を見つめていたのだった。
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