沈黙する記憶
周囲のお客さんがチラチラとこちらを見ている。


「まぁ、悪い想像はしたくないけれど、どんな親でも自分の子供の人生を考えるだろ。俺たちはまだ高校2年生で、来年は受験だ。夏男の両親が杏を誘拐し、どこかで中絶させている可能性は高い」


裕斗の言葉にあたしは返事に詰まってしまった。


夏男の両親がそんなにひどい事をするとは思えない。


だけど夏男は成績優秀で、東京の有名大学を受験すると聞いていた。
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