浮気の定理
――1年前



会社の同僚と飲みに行くことになった私は、雅人にもそれはきちんと話してあった。



同僚というのはほとんどが男性で、女性は自分一人という状況だ。



でもこれまでにも、なんどかそんな飲み会はあったし、油断してしまっていたのかもしれない。



飲み会がお開きになった時、私はかなり酔っぱらっていて、同僚の一人が送ると言ってくれたのを、うっかり了承してしまったのだ。



タクシーに乗せられて、いつの間にか眠ってしまったんだろう。



目を覚ました時、私の目に映ったのは見覚えのない天井と簡素な家具だった。
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