浮気の定理
自分の中に芽生えつつある認めたくない感情に、私は狼狽えていた。



――こんなの知らない。



それに誰かを好きになるなんて有り得ない。



きっと、桃子を取られてしまう寂しさで、勘違いしてるんだとそう思った。



山本のことは、桃子を通して好きだったはずだ。



だからこれは別の感情。



今まで二人で桃子を見守っていたから、そのバランスが崩れることが寂しいんだと。



無理矢理自分の中にある感情を、都合のいいようにすり替えて、私は自分を必死に納得させていた。
< 497 / 730 >

この作品をシェア

pagetop