浮気の定理
だけどみんなに会った後は、必ずといっていいほど寂しくなるのだ。



氷を弄んでいた指を引き抜いて、そのまま口に含む。



それから一気にグラスの中身を飲み干した。



氷が溶けて少し薄くなったウイスキーのロックが、喉を伝っていく。



全部飲み終えたグラスを片手で突き出して、同じものを下さいと注文した。



「かしこまりました」



真由のお気に入りのいつものバーテンダーの彼は、いつものように忠実に客の注文に応える。



愛想のいい笑顔からは、何を考えてるのか読み取れない。
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