浮気の定理
「そんな怖い顔しないでよ……

家庭によって事情もあるでしょう?

一応、産む方向で和也とは話し合ってみるつもりだけど……」



溜め息をつきながらそう伝える相手は、桃子だ。



堕胎する選択をすれば、桃子がありさを軽蔑することをわかっているから。



「……なら、いいけど

ありさもいい大人なんだから、一時の快楽に負けて避妊しないとか、やめてよね?」



さっきまで弱々しかった桃子とは思えないほど堂々と、ありさに引導を渡す。
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