悪魔の運動会
だって、私には【組織票】がある。
まず久米茜に声を掛けた。前回の投票で、世古佳恵が茜に票を入れると言っていたと吹き込んだ。茜は両手に野球部を従えている。案の定、その票も取り入れることができた。
それから不登校の斉木真一にも声を掛けた。
お互いには絶対に入れない。
それはいわば【同盟】だ。同盟を組んでいる以上、私が失格者となることはない。
綺麗事を並べる安藤直人も、偽善者の代表である相原友子も、私を鋭く睨みつける間宮旬だって怖くない、
私は5票もっているから。
思うがままに失格者を決めることができるから。
「そんな、嘘でしょ?」
相原友子がショックで顔を歪めている。その何倍も、私は顔を歪めさせられてきたんだ。
「嘘って言って?ねぇ、寺脇さん‼︎」
相原友子が悲しみの涙を流す。その何億倍も、私は涙を流してきたんだ。
「__知ってるくせに」
「えっ⁉︎」
「私がイジメられてるの、見て見ぬ振りしてたくせに‼︎あんたに私のなにが分かる!みんな死ねばいい、全員、私をイジメた奴ら死ねばいい‼︎ずっとそう思ってきた__それが今、叶っただけよ」
「ひどい、そんなこと__」
「次、あんただから」
私は真っ直ぐ、指を指した。
1番に私を気にかけ、クラスに馴染むよう働きかけてくれた副委員長。
この女は、自分に酔い痴れているだけ。
私がその酔い、覚ましてあげるわ。
「次、あんたを落とすから」