あなたを好きにならないための三箇条

どうしてやめたの?だって…?

なに言ってるんだよ


「…お前、自分で言ったんじゃん。離れてって」


言葉の通りの行動をした俺も俺だが
自分で言ったことを忘れてしまっているのかと逆に心配になる

彼女を見つめれば
彼女は驚いたように目を丸くしていた

その手は少し震えている



「…男のヒトは…人が嫌がるのも気にせず
自分の欲望のままに生きる生き物じゃないの?」



彼女の瞳は純粋でなんの汚れもなく
美しすぎて…


怖くなった。




そこで理解する。
彼女は男というものも知らなすぎることに



「…そりゃ。そういう人もいるでしょ
でも、そうじゃない人もいる」


少なくとも俺はそうじゃないと伝えるように
俺は悪役には似合わないほど優しい手で彼女の震える手を包んだ


彼女は少し肩を震わせて
諦めたように俺を見つめ返した。


彼女は男の優しさを知らない
全てが敵だとそう思っている。


だからこそ。
だからこそ彼女がいいのだ




「…俺と契約しよう。」

「契約?」

「そう。俺は–––––」



お前に絶対に手を出さない。

その上、男の怖さ以外を教えてあげる




その代わりに–––––




俺と付き合ってほしい。





俺の







想いとの決別のために。






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