あなたを好きにならないための三箇条


…––––しばらくして。
少しのホームルームを終え
オレは示されたように校舎裏へと行こうとしていた




今からなにがあるか、予想はついていた




それでもなお何も知らない顔で行くのはあの少女の気持ちを汲み取って、である




「…ルイ。お前さぁ、モテすぎだろ」

「ほーんと、イケメンも大変だよねぇ。
あんな純粋そーな子にまで好かれちゃって。」


幾らかの友人に苦笑され
オレ自身も笑い返した



「ばーか。女の子はそーゆーとこが可愛いんじゃん?」



カバンを肩にかけて
オレは教室を後にした


まだ日中。
肌寒い気もするけど暖かい心地もする微妙な時期

風は強いわけではないけどまったく吹いていないわけでもない

しかし、空は晴れわたって雲ひとつなかった





この学校の校舎裏はそんな日差しが少ししか入らない日陰。

東屋はあるけど人がたくさん出入りするわけでもない。
しかし、
まったく人が入らないわけでもない。


静かな人通りの少ないこの場所は


絶好の告白スポットなのである



この告白スポットを巡って裏では驚く事実があったりもする


告白の日付と時間が被らないように生徒会が作った用紙に書き、予約制だったり

同じ人が何日も連続で告白されないように
何日か空けるようにしてあったり

見学者がいてもいいか
など細かい設定もあるらしい



…される側ばかりのオレは他にもある細かい事情は知らないし
これからも知ろうとは思わない


そんなオレがなぜ告白を受け入れないか
誰とも付き合わないか、なんて

そんなのわかりきっていることである。





…オレは…



東屋に着くともう既に少女が意気込んで待っていた

その瞳は熱っぽくてこれからやってくるであろう言葉は容易に思いつく


「…ルイくん…っ!」

オレの姿を目に止めた少女は勢いよく言葉を放った


「私…っ。ルイくんのことが…」
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