秘密の会議は土曜日に

2 深夜のスーパーに出没する皇帝閣下

帰社した時にはぐったりと疲れて午後半休でも欲しいくらいだったけど、そうも言ってられない。


昼ごはんにカップラーメンをかき込んで、心の栄養に豆大福を追加。身も心も疲れきったときの甘いものほど美味しいものはない。これでまだ少し戦える……気がする。


自分の仕事を片付けて時計を見ると夜の7時だった。定時は過ぎてるけど、まだまだ私の夜はこれからだ。


疲れてるからといって万が一ミスでもしたら今度こそ命はない。集中力を高めるためにスティック型の羊羮をデスクの引き出しから取り出す。



あぁ……これぞ残業の友。甘くて美味しいし手も汚れないのが嬉しい。羊羮の美味しい口どけに癒されて、その後は頭を切り替える。



五日後にはエヴァーグリーンインフォテクノロジーに、それもあの鬼畜皇帝にシステムダウン対策案を提出しなくてはならない。



トラブル原因をもう一度見直してみると、明らかに確認作業が雑過ぎだった。一部のライセンスファイルは毎年更新しないといけないのに、何もチェックされてないなんて。



嫌な予感がしてライセンス以外にも見直してみると、他にもトラブルの種になりそうな問題が山積みだった。


「このままデータが増えていったら半年後にはディスク容量パンクするじゃん。

しかもバックアップ運用も適当過ぎるし!設計どうなってんの!?」


深夜11時、真っ暗になったオフィスで一人叫ぶ。その頃には机の上に羊羮のビニールが山積みになっていた。


「みんな忙しいって言うけど、気が付けばみんな私より早く帰ってるんだよねー。」


結局終電までその作業を続けたけど、まだまだ終わりは見えなかった。


それどころか次の日も、その次の日も類似案件の見直しは続き、金曜の夜も終電で帰る。
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