秘密の会議は土曜日に
「動かないで」と言って、高柳様は再び私の前髪を払った。下を向いてティーカップを観察して、その苦行のような時間が過ぎるのを待つ。


「こちらを向いて下さい。」


恐る恐る視線を上げると、これまで見たことのない優しげな顔をした高柳様と目が合ったので全身が固まった。多分私の体は今徐々に石化している筈だ。


「可愛い」


「く……くるし……」


肺と心臓が止められそうになったけれど、やっと解放されたので何とか呼吸機能を回復させる。


「げふっ……」


「次回の参考に聞きたいんですけど、理緒さんはどんなデートが好みですか?」


デート、date……


その単語は我々の業界であればやはり日付書式、つまりプログラムで日付を扱うための形式についてのご質問に違いない。


「個人的にはダントツでジュリアンデートですね。2038年問題はあるにしても、汎用性と日付計算の容易さは他に類を見ず……」


「ははっ。あはは、断トツでジュリアンデートですか。わかりました。」



そんなに笑われてしまうとは。趣味が変だっただろうか。移り変わりの激しい業界だけに、最新の技術についていけていないのではと不安になる。


「高柳様は……?」


「俺はこだわりはありません。

理緒さんと二人でゆっくり話ができれば今は満足です。」


なんだか聞きたかったデータ型のこととは違う内容が返ってきたけど、にっこり笑った高柳様の顔を見るのが苦しくて下を向いて黙った。



「理緒さん、今日はありがとうございました。

予定が空いているなら、また次週も実施しましょう」
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