秘密の会議は土曜日に

5 ダメ出し閣下の教育指導

高柳様から頂いた返信を眺めてため息をつく。


『理緒さんへ

今日はありがとうございました。

半信半疑だったんですけど、本当に議事録の体裁で送ってくるとはさすがですね。笑いました。

ただし、内容は全然ダメです。とりあえず伝わっていないことだけはわかりました。

次回の議事録は俺が取ります。それでは、また。


高柳』


このメールを見返すのはもう5回目だ。『内容は全然ダメ』の部分を見ると情けない上に苦しくなってくる。議事録程度もまともに取れないと呆れられてしまっただろうか。




「顔無しねーちゃん、今日は元気ねーな」


「大人にはそういう日もあるんですよ、少年」


時間のある日曜日は、子供にプログラミングを教える教室のボランティア講師をやっている。髪で顔を隠してるので顔無しねーちゃん、というのが私の呼び名だ。


仕事以外に何もやることがないので始めてみたけれど、ここで私は基本的に子供に遊ばれている気がする。



「男にフラれたんだろー。ダッセー格好してるから」


「いえ、フラれる以前にお付き合いすることがありませんので、その心配はありません。」


「顔無しねーちゃんって、つくづく可愛そうなヤツだよな……」


「そうでもありません。少なくともこのロボット相撲で私に勝てる人はいませんよ?ふふふ。」


「そういうとこが可愛そうなんだって。」
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