イケメン御曹司は一途な溺愛王子でした~愛の重さはヘビー級?!~
莉々花が起き上がって出迎えようとするのを、手で制して副社長から声が掛けられた。

「怪我の具合はどうですか?」
「頭はそれ程痛くはないです。痛み止めが効いてるのか、他の打ち身になった所も今は大丈夫です」

そう返事を返す。

「しかし、さっき起きようとして顔を歪めたでしょう?かなり痛いのでは?」

こういう時の私は素直に顔に出やすいのかな。
あまり出てないと思っていたのに。

「仕事から離れると莉々花は顔によく出るわよ?無理も無茶もしなくていいから、素直に言いなさいよ。では、先に私は会社に戻ります」

そう言うと有希子が病室から出た。

「副社長、有坂と先に戻りますので。お戻りの際は御一報下さい。清水さん、無理なさらずに。先に失礼します」

そう言うと坪内さんも病室から出た。

「莉々花…」

私を呼ぶ声は少し震えていた。

「無事で良かった。本当に。下手をしたら僕は永遠に君を失うところでした。触れてもいいですか?」

見上げる先の玲一さんの顔はとても悲しくて、苦しくてやりきれない。
そんな表情をしていた。

私は動くと少し痛むので、声に出して答えることにした。

「はい、いいですよ」

私の返事を聞いて、玲一さんの少し節のあるそれでいて綺麗な指先がそっと私の頬に触れる。
ちゃんとここに居るのか確かめるみたいに。




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