キライ、じゃないよ。

kashi.5

◇



おかしい。

絶対おかしい。

プライベート用のスマホを見ながら、苛立ちが増していく。

あの日、仕事が片付いたのは事後処理を含めて2日後だった。

職場から自宅に帰るまで待てずに繋いだ護の携帯は、運悪く繋がらず。

最初は仕事中なんだろうとか、忙しくて疲れて寝ているのかもしれないとか、幸島達と飲み会でもしてて気づかないのかもしれないとか、あらゆる理由を探しては、無理矢理自分を納得させていた。

だけど、今日で7日だ。

何が何でもおかしいと思わざるを得ない。

大体着歴が残っているんだ、護からかけてきてくれたっていいのに、それもない。

待っていようと思った。

護は、俺の仕事を優先させて、ずっと待ってくれていた。

俺が待てないなんて勝手すぎる。

そう思ってさらに3日。トータル10日経っても一向に護に繋がらない。

しびれを切らして、俺は護の職場に会いに行こうと決めた。

今日は定時に終わらせて、真っ直ぐ護の職場に向かう。

護がいなければ、アパートの場所を幸島から聞き出して押しかけるつもりでいた。

会社から出て間も無く会社用の携帯に着信があった。仕事だとしても出るつもりはなかった。

チラリと液晶画面を見て、それが山近からだったから仕方なく出た。


< 114 / 194 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop