ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
驚きと少しの感動で目を丸くすると、彼の凛とした瞳が私を捉える。


「手だけじゃない。振る舞いや、話す表情から滲み出るしなやかさが、あなたを美しくしている」


滑らかな声で紡がれる言葉に、心臓が大きく揺れ、頬がじわじわと火照りだす。

今まで、男性にこんなに褒められた経験なんてもちろんない。自分が美しいと思ったことも皆無だ。

ただのリップサービスだとしても、否応なくドキドキしてしまっていると、朝羽さんは触れる手はそのままに、少し目を伏せてこんなことを言う。


「思えば私は、恋は自然と落ちるものだと思っていたので、誰かを好きになる努力も、好かれる努力もしてきませんでした」

「……私もです」


激しく同調して頷き、再び視線を合わせると、なんだかおかしくて思わず小さく吹き出してしまった。

容姿も肩書きも完璧なら、恋愛も達者だろうというイメージがあったこの男性と、これといった取り柄もない平凡な私に、こんな共通点があったとは。

クスクスと笑いをこぼす私につられたのか、朝羽さんの口元もふっとほころぶ。

あぁ、また見ることができた……魅力的で貴重な笑みを。

なんだか嬉しくなったその瞬間、ふと思う。朝羽さんって、霜花(しもばな)みたいな人だ、と。

< 22 / 273 >

この作品をシェア

pagetop