ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
すでに懐かしく感じる栄えた駅前の通りから、徒歩で実家に向かう。酒造りを終えた今は、酒蔵では残されている生酒を瓶詰めする作業が行われていることだろう。
十五分ほど歩くと、見慣れた土蔵造りの飛高酒蔵の前に女性がいるのが見えた。ベージュのエプロンをつけた彼女は母だ。
私はぱっと顔を輝かせて駆け出し、暖簾をくぐって中に入ろうとする彼女を呼び留める。
「お母さん!」
「えっ……初音!?」
こちらに気づき、これでもかというほど目を見開いた母に、私は年甲斐もなく抱きつく。
小柄だけれど弾力のある母の身体からは、懐かしく優しい匂いがして、一気に安堵した。
「ただいま」
「どうしたのよ、急に! びっくりしたわ~」
驚きながらも嬉しそうな声を上げて、しっかりと私を抱き留めてくれる母に、ちょっぴり嘘をつく。
「ごめん、急きょ休みが取れたから。日帰りで夕方には戻るけど」
「そうなの。でもよかった、顔が見られて。元気でやってるのね? 朝羽さんも、ご両親も変わりない? 式の準備も大変でしょう」
身体を離し、私の肩を掴んで正面から顔を覗き込んでくる彼女の言葉に、少々ドキリとする。
十五分ほど歩くと、見慣れた土蔵造りの飛高酒蔵の前に女性がいるのが見えた。ベージュのエプロンをつけた彼女は母だ。
私はぱっと顔を輝かせて駆け出し、暖簾をくぐって中に入ろうとする彼女を呼び留める。
「お母さん!」
「えっ……初音!?」
こちらに気づき、これでもかというほど目を見開いた母に、私は年甲斐もなく抱きつく。
小柄だけれど弾力のある母の身体からは、懐かしく優しい匂いがして、一気に安堵した。
「ただいま」
「どうしたのよ、急に! びっくりしたわ~」
驚きながらも嬉しそうな声を上げて、しっかりと私を抱き留めてくれる母に、ちょっぴり嘘をつく。
「ごめん、急きょ休みが取れたから。日帰りで夕方には戻るけど」
「そうなの。でもよかった、顔が見られて。元気でやってるのね? 朝羽さんも、ご両親も変わりない? 式の準備も大変でしょう」
身体を離し、私の肩を掴んで正面から顔を覗き込んでくる彼女の言葉に、少々ドキリとする。