ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
兄たちが丹精込めて造った、お米の甘みがほんのり感じられるお酒を、私たちは感慨深い気持ちでちびちびと飲む。


「今年のしぼりたても美味しいね、しろちゃん」

「だろ? 毎日毎日くっそ寒い中手洗いしてきた米の酒なんだから、美味くないわけないんだよ。わが子のように愛しいわ」


飛高酒蔵の白いラベルが貼られた瓶に頬ずりしそうな勢いの彼に苦笑いしていると、お店の手伝いをしている真琴がカウンター越しに料理を差し出してきた。


「はい、バター焼きおまたせー」

「ありがと。いい匂い~」


食欲をそそるバターの香りを振りまくホタテに、私も兄も顔の締まりがなくなる。

加熱処理をしていない、白ワインのようにフレッシュな生酒には、鶏肉料理や魚介類がぴったりなのだ。

ふたりで分け合ってひと口食べれば、お酒の風味と相まって絶妙なハーモニーが生まれ、お互いに悶える。


「ん~めっちゃくちゃ合う!」

「なんだこのマリアージュ具合は!」

「あんたら、食レポやってもらいたいくらいにいいリアクションするよね」


エプロンをした腰に片手を当てる真琴が、若干呆れ気味で言った。

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