いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「勝子に再会したのは偶然なのか?」
「もちろん。小学生のあのとき、勝子が俺を助けに来なければ、俺は多分今でも勝子がそばにいることを知らなかった。まさか社宅を出て引っ越した家の近所に勝子が引き取られた家があるなんてね」
「2歳半から会ってないのになんで勝子だってわかった?」
「勝子って名前をきいてまさかとは思ったけど、勝子って名前は珍しいから母さんに聞いてみた。あの子はどんな家にもらわれていったのか、って。そしたら確か武道家の家だったっていうから。それと鞄にぶら下がっていた桃色の小さなお守り。あれは勝子が2歳の時に首に下げていたお守りと同じだ。社宅の近所にあった神社のお守りで、俺は色違いで青いのを持っていた」
強は観念したように短くフッと息を吐いた。
「勝子には黙っていてくれないかな。まだ何も知らないんだ」
「うん、だから今がチャンスじゃないかと思って」
「チャンス?」
「強さんは勝子に本当のことを明かさない限り自分の気持ちも伝えられない。だからそのあいだに抜け駆けしようかと」
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