いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
ひかりは美加と由貴と一緒に楽しげに話しをしていた。
今日、学校が終わってからのちょっとした企みについて。
昨晩、兄の浩二と企てた計画を、美加と由紀に話していたのだ。

勝子が登校してきて、なにか自分の席に仕掛けられていないかと、机やいすをチェックしてから席に着く様子を目の端で追いながら、思わず笑みを浮かべる。

昨日は勝子のせいで、ひかりは家に帰ってからもずっとムカムカが収まらなかった。
だからソファにだらしなく寝転がり、テレビを見ていた兄の浩二にまで愚痴ってしまった。
多少の装飾――というか、かなりの嘘を交えて。

「お兄ちゃん、聞いてよ。うちのクラスに転校生がきたんだけどさ、私にいきなりケンカ売ってきたのよ」
「へえー」
相槌をうったものの、兄の浩二はバラエティ番組から目を離さない。
「ちょっとかわいいからって、むかつくんだよねー」
すると伸びたばねが元に戻るように、浩二がびよんと素早く体を起こした。
「え、ちょっと可愛いの? どれくらい? お前より可愛い?」
相変わらず「可愛い子」に対する食らいつき方がハンパないな、とひかりはあきれて兄を見る。
「私より可愛いわけ、ないでしょ」
「そっか、そうだよな」
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