青春の蒼い花

「で、なんで嘘ついたんだよ?
結局どこにいたんだ?」


ちょっと怖い顔だった。


嘘を疲れたことに対して怒っているのか、
それか他に理由があるのか、


わからないけど、


何も答えず、顔をぽりぽりかいて言い訳を考えている私に呆れてため息を漏らした。



「もしかして…誰かにやられたのか?」



「いや…違…」


「違わねーだろ。
お前、嘘が下手なんだよ。


なんで嘘なんかついた?

誰にやられたんだよ?」



そこまで言うと、高津はどうしても私の口から私をこんな目に合わせた犯人が知りたいらしく、距離をどんどん近づけてくる。


怖い顔が近づいてきて、私は彼の胸を両手で押し退けた。


「…わりぃ」


そこで彼はようやく冷静になったのか
私から距離をとった。


「………」


私が黙り込んでいると、
高津は諦めたのかため息をつきながら

「まあ、お前が言いたくないなら言う必要はないけど…


俺だってほっとけないんだから、


我慢出来なくなったら頼れよ?」




ポンと私の頭に置かれた手は



とっても優しくて落ち着いた。





「うんじゃあ、俺は帰るけど

白石も一緒に帰るか?」




私も帰る支度をちょうど終えた。



私はその誘いにOKを出そうとする直前、

あることに気づいた。




「…!



…ごめん、私、ちょっと用事あるから
先帰っていいよ?」




私の答えにしょんぼりすることもなく、
「ああ、そう。じゃあな」
とだけ言って教室を出ていった。



私はその瞬間、安堵のため息を漏らすが、

すぐに今の状況に焦りを感じた。




もう一度鞄を見てみると、



この前高津から貰ったストラップが消えていた。




落としたのかもしれない



なんて思わなかった。





多分…、麻生さんたちの仕業だ…。




私は自分の席の周辺から、教室の至る所まで探した。

ゴミ箱もそこの方まで見たけど、出てこない。



もしかして、盗んでどこかに捨てたのではないかと思って


昇降口までに通る廊下やそこにあるゴミ箱、中庭の花壇まで時間をかけてずっと探した。




でも、見つけられなかった。




今日はほとんどの部が放課後練習が無しで下校している。


何かを必死に探している私の様子を横目でチラチラ見る人たちもたくさんいた。



それでも私は探し続けた。




ただのUFOキャッチャーでとれたやつと
高津は言っていたけど






私にとってそれだけじゃない。




じゃあ、そのそれ以外って何?



って聞かれたら




何なのかはまだ自分でもわかっていない。





ただ、どうしても無くしちゃならない物だと思った。



あのストラップがどんな物だったかを思い出そうとすると、
どうしてもあの時それを嬉しそうに私にくれた高津の顔が思い浮かんできた。
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