青春の蒼い花

文化祭


文化祭当日


前夜祭でのことがあり、私はなおさら学校に行きたくなかった。



だけど、せっかくの明日香の舞台を友達の私が見ないわけにはいかなかった。


明日香は私が元気がないことに気づいているが、何があったのか知らない。


だから私はいつもより軽いカバンを持って家を出た。



あれから高津とは会っていない。


私はあのあと、あのたく兄からの告白のあとなぜかその場から逃げてしまった。



何だかわからないけど涙が出た。



たく兄から好きだと言われるのをずっと待ち望んでいたはずなのに、


なぜか涙が止まらなかった。



これは嬉し涙なんじゃないかと最初は思った。


でも、じゃあなんで私は逃げているんだ。



たく兄を抱きしめればよかったのに、

私は目の前のたく兄を拒否してしまった。




あの日私を逃さないように壁に追いつめ、
荒い息で少し怒っていて、それでも悲しそうに好きとだと呟いたたく兄の姿を思い返すと胸が苦しくなった。


私はあのとき、怖いと思ってしまったんだ。



たく兄が私が思っていた以上に大人で男の人だったから。



でも、今はその好きという言葉を頭の中でリピートして、くすぐったくて嬉しい気持ちでいっぱいになる。


家に帰ってからもたく兄を避けていた。

逃げてしまったことを謝りたいと思った。


自分も好きだと伝えたかった。




だけど、たく兄の部屋のドアをノックしようとすると、



高津の顔が何度も現れて、
邪魔をしてきた。




何で高津の顔が出てきたのかわからない。



でも前夜祭のときの高津のあのちょっと怖い顔、私を優しく包んだあの手が忘れられなかった。


何で高津はたく兄にあんなことを言ったのだろうか。


それが気になって仕方がなかった。


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