エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
「ひとまず聖に連絡したら? きっと今頃心配して捜し回っていると思うから」

「え?」

「実はね、紗凪ちゃんを街中で見かける前に聖から連絡があったの。何回電話しても紗凪ちゃんと連絡がつかないって。何かあったのかもしれないから仲がいい凛華ちゃんの連絡先を教えてくれないかって言われたんだ」

慌てて鞄から携帯を取り出してみれば聖さんと凛華からのラインや着信が何件も入っていた。

「過保護の聖さん。そろそろ連絡してあげないと警察に捜索願いなんて出しかねないんじゃない?」

「いくら何でもそこまでは」

「いや、あの聖ならやるでしょ」

そんな京極さんの言葉に私は慌てて聖さんに電話を掛けた。

『紗凪、大丈夫なのか? 今、どこにいる?』

何コールか後に電話に出た聖さんの声は明らかに焦っていた。

「心配をかけてごめんなさい。何かに巻き込まれたとかじゃないので大丈夫です。あの、今から帰ります」

『そうか。なら良かった。今どこにいるんだ? もう終電もないし夜道は危険だから近くまで迎えに行く』

「えっと、その……」

京極さんといるこの状況をどう聖さんに伝えようかと考えていたそのとき。

「紗凪ちゃん」

隣で運転中の京極さんが私の名前を呼び私の視線はそちらへと動いた。すると道路端に車を寄せ、京極さんが車を停めた。

そして携帯電話をこちらへ向けてとジェスチャーしてきたので、私は言われるがまま京極さんの方へと携帯電話を向けた次の瞬間だった。

「もしもし?暁斗だけど」

『暁斗? 紗凪と一緒にいるのか?』

「うん、一緒にいるよ。俺がちゃんと紗凪ちゃんをお前のところまで責任を持って送り届けるから、お前はマンションのエントランスで正座して待ってろよ! 分かったな?」

運転席から京極さんのそんなことを言って、そしてブチッと通話ボタンを切った。

「俺ができるのはここまでだから、後はちゃんと聖と話をするんだよ? 分かった?」

穏やかな口調で京極さんがそう言って優しく笑った。
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