ユリの花はあまり好きじゃない
3章
 翌朝、午前8時が過ぎ、シンちゃんから携帯電話に着信が入った。

 しばらくすると不在着信1件と液晶画面に表示された。
 その後も立て続けに着信音が響いては切れ、響いては切れ、不在着信の件数が加算されてゆく。

『どこに行ったんだよ。電話出て』
『百合、お願いだから電話に出て』
『電話ちょうだい』

 メールも数え切れないほど何通も届いていた。マナーモードに設定し、枕の下に滑り込ませる。

 実家の自室に私はいた。

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