センパイの嘘つき


「それに柚月ちゃん、ここで手当てとかしてるよね?」


「慣れるためですから。それに、ちゃんと心構えして手当てに集中すればそんなに気持ち悪くなったりはしないんです。」


手当てをする人は、何もしてこないって分かってるし。それでもものすごく神経を使うけど。


「柚月ちゃん」


先輩の優しい声。この声を聞くと、くすぐったくて、恥ずかしくなる。


でも、不思議と聞いていたいとも思う。


「大丈夫だから、おいで?」


先輩はソファに移ると、自分の隣をポンポン、と叩いた。


私は少しムッとして頬を膨らます。


この前からなんとなく子供扱いをされている気がする。


一個しか違わないのに。


この前は一年の差が大きく感じて、先輩を大人っぽいと思って、それに安心していたのに。


今は少しそれが不満だ。


自分のことなのにわけがわからない。


私、こんなめんどくさいっけ。

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