亡霊
「じゃあ、今莉乃さんはどこにいるんだ?」


「莉乃は、部屋に籠ってる。

一人一人に部屋があるの。閉じ籠ってるからワタシが変わりに此処にいる。



わかった??」


足を組み腕を組み、淡々と話す莉乃の目には自信が満ちていた。



「だけど、まさか松田ミユキの"亡霊"が出て来てるのが残念。


殺すに殺せないわ。

だって、松田ミユキはワタシが殺したのに…」


松田ミユキの亡霊!?



「なんだそれ」



「莉乃はあの教室で、松田ミユキの亡霊を見たのよ。

アイツは莉乃が殺したって思ってるからね。

亡霊に殺す力ないかもだけど、用心しないとね。


ワタシはあんな奴に殺されないわ」



自信に、満ちた莉乃。



俺の好きな莉乃の顔じゃない。


俺は、ジッ、と莉乃を見た。


莉乃は俺に気づいて近づくーー。


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