守りたい人【完】(番外編完)

雨の日に

「いってきま~す」


家に向かって大きく声を出す。

すると、鍛冶君がパタパタと小走りで玄関までやってきた。


「本当に1人で大丈夫か?」

「大袈裟ですよ。そんな山深く入るわけじゃないし、携帯も持ってますし」

「でも、やっぱ心配やし俺もついてくわ」

「鍛冶君今日仕事の締め切りなんでしょ? 大丈夫です。私生まれはここなんで山菜採りには慣れてるんです」


まるで父親のように心配する鍛冶君の姿が面白くてクスクス笑う。

それでも、変わらずついて行くと言い張る鍛冶君を何とか説得した。


今日は、久しぶりに山に山菜でも採りに行こうかと思って、出掛ける所だ。

昔は両親とよく籠を担いで採っていたのが懐かしい。


「こんな時に朝比奈さんはどこ行ったんやろか」

「そういえば、朝早くから出掛けてましたね」


いつも揃ってご飯を食べるのに、今日は用事があるとかで朝早くに出て行った。

昨日のうちに朝ごはんにと作っておいた、おにぎりも綺麗になくなっていた。

まぁ、仮にいたとしてもついてきてくれるとは思えないけど。

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