守りたい人【完】(番外編完)
不安に押し潰されそうになる中、おにぎりを持ったまま体育館の出入り口をじっと見つめる。

あの扉が開いて、朝比奈さんが帰ってくる事を祈り続けて2日が過ぎた。

もう精神状態もギリギリで、ピンと張っている糸が今にも切れてしまいそうだった。


「大丈夫や」


そんな時、不意にかかった声。

導かれるように隣を見れば、同じように体育館の出入り口を見つめる鍛冶君がいた。


「朝比奈さんは、しっかりしてる。心配せんでええ」

「――」

「おまけに1人で行ったわけちゃうやろ? 大丈夫や」


瞳を揺らす私にそう言って、優しく笑った鍛冶君はポンッと私の頭に手を置いた。

その反動で、今にも涙が零れ落ちそうになる。


鍛冶君の言葉は理解できる。

朝比奈さんは元自衛官で、その中でも精鋭部隊にいた。

厳しい訓練にも耐えて、経験も豊富で、状況判断に長けている。

それに、鍛冶くんの言うように1人で捜索に行ったわけでもない。

一緒に行った人達の帰りもまだとなると、一緒にいる可能性が高い。


だけど――。
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