守りたい人【完】(番外編完)
「あ~も~、そんなに見つめ合って、暑苦しいわぁ」

「ちょ、見つめ合ってなんかっ!」

「やきもちか」

「ちょっ、朝比奈さん、言うようになりましたねぇ!」


ワイワイと再び漫才が始まる。

そんな2人の様子を見ていた周りの人達がクスクスと笑っていた。


その様子を見て、心が温かくなる。

なんて幸せなんだろうと空を仰いだ。

見上げた先に見えたのは、どこまでも広がる青空と入道雲。


「あ~も~2人とも分かりましたから!」

「志穂ちゃん、どっちの味方なんや!」

「そんなの、朝比奈さんに決まってるじゃないですか」

「そりゃないわぁ」



笑い声がコダマするここは、小さな田舎町。

田んぼと山に囲まれた、何もない場所。


ううん。

大切なものが全部揃った場所。


「さ、ご飯にしましょ~!!」


私は今日も、ここで大切な人達と生きていく。

いや、明日も明後日も、ずっと――。



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