クールな御曹司の契約妻になりました
「いつも一生懸命で真っすぐなことも、相手の気持ちを考えることも、香穂の良い所だ」

髪の毛を弄んでいた指が、ふいに止まって真っすぐに見つめられた千裕さんの瞳は揺らいでいた。

「香穂が結婚相手で良かったと心から思うよ」

千裕さんの言葉に私の心が大きく揺さぶられる。

結婚相手で良かったなんて、それは契約結婚の相手が私で良かったということですか?

どこか、サヤカさんに似ているから?


嬉しいはずの言葉が私の胸に刺さる。
私、千裕さんに惹かれてる?

「ありがとうございます」

ふと頭を掠めた言葉に私は気が付かない振りをしながら、私は無理矢理に笑顔を作って笑って見せる。

こんなに悲しくて泣きたい気分になりながら、お礼を伝えたことなんて初めてだ。

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