クールな御曹司の契約妻になりました
「カメラマンに追われてる?!」

成松さんは、さらに眉間の皺を深く刻みながら、怪訝な表情で私を見つめる。

成松さんの痛いほどの視線に、私はもう小さくなるしかない。


「いえ、だから、今はもうそんなことはなくて」

しどろもどろになりながら、大丈夫だということを伝えようとすると、成松さんは呆れたようなため息を吐く。



「社長は?そのことをご存じなんでしょうか?」

「いえ。千裕さんには心配かけたくなくて……」


「そうですか。分かりました。今回のことは社長には秘密にしておきます」

成松さんのいつもの冷静な口調が降ってくる。

「けれど、今回だけですよ?」

恐る恐る成松さんの顔色を窺うと、いつものクールな表情はわずかに穏やかで優しさを含んでいるように見える。

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