クールな御曹司の契約妻になりました
「そんなことより、香穂、そこにずっと突っ立っていないで、座れば?」

ソファーに座る千裕さんは指さし、隣に座るように促す。


インテリアの雑誌で見たことのある高級ブランドのソファセットは黒の洗練されたデザインで、背の高い千裕さんが横に寝転がっても十分余るほどの広さがある。


私は、千裕さんに促されるようにして千裕さんと距離を取りながらソファの端に腰を下ろす。


私が座ったことを確認して、千裕さんは満足そうに顔を綻ばせる。


ソファの座り心地は最高で、身体が沈み込んでどこかの貴族にでもなったかのような感覚すら覚えるのに、寛ぐどころか緊張しているのは隣に千裕さんが座っているせいだ。

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