闇を抱える蝶と光輝く龍
寮につき俺はすぐエレベーターに乗り最上階のボタンを押した


いつもならなんとも思わないエレベーターに乗っている時間がこのときはものすごく長い時間に感じた


最上階に着き俺は結衣の部屋のインターホンを鳴らした


ピンポーン


鳴らしてしばらくすると


結「…はい」


少し元気ない結衣の声が聞こえた


「結衣、俺だ。桐人」


結「き、桐人!?」


ん?なんかすごく驚いてないか?


結「えーっと何かあった?」


と思ったがすぐいつもの声に戻ったからきっと聞き間違いだな


「お前に話したいことがあるんだ。だから、部屋にいれてほしい」


すると結衣は黙った


入れるかどうか考えてるのか?


しばらくの沈黙が続いた


結「ごめん。今は誰とも話したくないし、会いたくない」


聞こえたのはひどく冷たい声だった


でも、俺は諦めたくなかった


今、早くこの想いを伝えたい


「結衣、少しでいいから―」


結「聞こえなかった?話したくないって言ってるの。帰って!」


俺の声を遮り結衣は怒鳴った


「結衣…」


いったいどうしたんだよ?


俺たちがいない間になにがあったんだ?


疑問を伺おうと言葉を出そうと思ったら


結「…嫌い」


すごく小さい声が聞こえた


今のは聞き間違いだよな?


「結衣、今なんて?」


俺は心を落ち着かせて聞いた


結「嫌い!大嫌いだよ!早く帰ってよ!」


嫌い…か


「 …分かった。もう関わらない」


結「え?」


「晴のことがあるし下っ端の混乱も起きるから姫を辞めさせることは出来ないけど俺からはお前に極力関わらないようにするから。今まで気づかなくて悪かった」


俺はそう言い部屋に戻った

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