甘い脅迫生活




そしてこっちの配送部。この部署に所属するほとんどの人がここで働いている。


工場から送られてきた商品を、管理、識別し、各場所へと流す。それだけのことでも、西園寺フードの規模を考えるととても忙しい。



配送部といっても、重い物を置いては流す、運ぶ、なんてことはなく。数は少なくても女子社員を中心に、書類を制作したり、報告書を書いたりする。



その全てをまとめるのが私たち事務。この部署は結構大きいから大変なのよね。



「あの、山田さん。」

「はい?」



配送部の奥、休憩用の事務所がある。そこでは基本、女子社員たちがお茶をしていたりして、ほんとに仕事をしに来ているのか不思議なほど和んだ空間となっている。



ほら、クリアガラスでバレバレのそこのドアを開けると今日も、女子社員4人がお菓子を囲んでいた。


……さえちゃんが見たら確実に給料泥棒ですねぇ、くらい言いそうだな。



振り返ったのは、女子社員の1人、山田さん。ここの女子社員んとはあまり仲が良くないから分からないけど、年齢は30代中盤だったと思う。


山田さんは、私に気が付いた途端、急に表情を曇らせた。他の3人も同様。なにしに来たわけ?こいつ状態。




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