バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「……はい! ぜひお願いします!」

 心の底から湧き上がってくる喜びを抑えきれず、私は両手を握りしめて勢いよくガッツポーズをしてしまった。

 やったー! 一か八かと思っていたけど、聞き入れてもらえた。

 しかもハウスウェデイングだって! 英国風のお屋敷をまるまる貸し切って行われるお式だ。

 まだ本館内のお式しか手伝ったことないから、一度でいいから携わってみたかったんだ。

「ありがとうございます! ありがとうございます副社長!」

 頭をブンブン上下させて、手放しで喜び続けている私を、副社長はなんだか嬉しそうに笑って眺めている。

 屈託のない素直なその笑顔は、今まで見た彼のどの表情よりも素敵に見えた。

 初対面の印象は最悪だったけど、やっぱりあなたはいい人なんですね。その裏表のなさそうな笑顔を見ればわかります!

 彼はアームチェアーからスッと立ち上がり、私に向かって片手を差し出してきた。

「これからよろしく頼むぞ」

 これは契約が成立した証の握手だ。私と副社長は、お互いの利益のために偽装の恋人同士を演じるんだ。

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

 副社長の大きな男らしい手を両手で精一杯握りしめながら、私はこれから始まるだろう充実した日々を思い、ワクワクと胸を弾ませていた。





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