目は口ほどにものをいう
彼は私を愛してる


お見合いをして8ヶ月。
司さんの家で他愛ない話をしながら一緒にご飯を食べるのも、すっかり当たり前になってしまった。
結婚したら、ずっとこんな感じなんだろうな。
ちょっとうれしいような、くすぐったいような気持ちになる。

「ゆかり、来週の水曜日って予定あるか?」
「水曜日ですか?何もないと思いますけど…。」
「それならそのまま空けといて。ご飯食べに行こう。」

平日の、しかも曜日限定なんて珍しいな。そんなことを思いながらカレンダーを見た。
あ。私の誕生日。
「気づいた?欲しいものとかあったら、言ってね。」
司さんが優しく微笑んでくる。
「司さんがくれるなら、何でもうれしいです。」
「そんなこと言って・・・。返品は受け付けないよ?」
そういって笑うけれど、好きな人からのプレゼントはなんでも嬉しい。
それに司さんはいつも私のことを考えてくれているから…
「返品なんてしないから大丈夫です‼‼」
ついつい力強く返事をすると、司さんは困ったように笑ってた。

「送っていくよ。」
司さんが車の鍵をもって立ち上がる。
「いつもありがとうございます。」
もっと一緒にいたいな。
そう思うけれど、恥ずかしくて言えない。

付き合ってだいぶたつけれど、司さんの家に泊まったことは1度もない。というか、司さんと泊ったことが1度もない。旅行もほんとは行きたいけれど、いつも日帰りばっかりで。
両親だって司さんと付き合ってることは知ってるわけだし、泊ったって何の問題もないと思うのに・・・。
司さんは泊まらせようとは絶対しない。

司さんはもっと一緒にいたくないのかな?

気持ちの大きさに差があるようで寂しかった。
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