颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
§秘書と野獣と美女と桐生
週明けの月曜日。まもなくお昼というときに、私は呼び出されてエグゼクティブ階にやってきた。

ここに来るのは異動初日以来だ。
私がエレベーターを乗り違えて桐生颯悟に無理矢理連れてこられたとき以来。

ふかふかの絨毯にヒールが柔らかく埋もれる感覚を味わいながら通路を歩く。ああこの非常階段で初壁ドンされて、この壁で壁ドンからのキスをされて……。


「なに思い出し笑いしてんの、キミ」
「わわわっ、颯悟さんっ?!」
「キモいからやめて」


目の前にはあきれ顔の桐生颯悟がいた。顎をしゃくって斜め下に私を見下ろす。初めて会ったときもこんな顔してた。


「どうしたんですか?」
「遅いから迷子になったかと思って。どうやったら社内で迷子とか」
「颯悟さん心配してくれたんですか? 心配で迎えに来……むむむむっ☆§●※▽■〇×??」


突然唇を指でつままれて私の台詞は強制終了した。
桐生颯悟の頬がほんのり赤い。
照れてる証拠だ。


「生意気なこというと、いいものあげないよ?」
「むむむむむっ??」
「蘭花堂特製お重幕の内弁当」

「☆§●※▽■〇×?!」


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