颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

「しゃべるなよ」
「んんっ……んぐ……」


ぐいと再び押し付けられた唇。すぐに舌が絡まる。口を大きく開かされて深く大胆に口内をかき回された。キャラもなんかいつもと違う。しゃべるな、なんて命令口調なんかしたことないのに。

颯悟さん、待って、待って。
声に出せないから胸のあたりでTシャツをつかんでみる。でもそんなことをしても無駄だった。深いキスは止まる気配はない。

そのうちにそんなことを考える余裕もなくなった。繰り返される熱い舌の動きに私の体は反応していった。体の芯がわずかに振動して、ほんのりと熱を出す。それが徐々に体の表面に伝わってきて肌が熱くなる。体全体がほかほかしてきて、自分が軟体動物になったみたいにぐにゃあっとして、立っていられなくなる。腕を桐生颯悟の首に回してなんとか自分の体重を支えた。

胸がぎゅうとなる。いつものキュンとか恋しいとか、そういう甘酸っぱい感情ではないものに心が埋め尽くされている。

辛い?
痛い?

なに、この感情。


「欲しい。みのりが欲しい」
「颯悟さ、ん?」
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