きっと、君だけ。



県でも有名な進学校と謳われているこの図書室に、人が来ないのには理由がある。


図書室のわりには狭いし、古いし、なんだか雰囲気も暗い。



それに、この学校の近くには立派な図書館がある。


みんな、このオンボロ図書室に来るくらいなら本の品揃えもばっちりな市の図書館に行くんだ。



……だから私はここが好きだ。


1人になれる、この空間が。



窓から差し込む光を浴びながら、ゆっくりとうたた寝をする時間が私の日課で、唯一の至福の時間でもある。



と、まあ。


そう、思ってたんだ。


あの日、彼に会うまでは──……。


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