きっと、君だけ。
「……それは……」
喉が詰まるように、言葉がうまく出てこなくなる。
初めて私が好きになった人。
でも、その人の前で私はちゃんと笑えていたのかもわからない。
もう思い出せない程遠い過去の記憶に、想いを馳せる。
その人の顔を思い出そうとして、チクリと頭の中に痛みが走る。
「ムカつく」
ハッと、彼の言葉で我に帰った。
「え?」
「否定しないってことは、肯定と同じだし。まじムカつく。そいつぶん殴りたい」
今までの優しげな雰囲気はどこへやら、急に物騒な言葉まで使ってる尾崎くんに、目を見開く。
でも、紡ぐ言葉とは裏腹にその瞳は寂しそうだった。
「な、何を言って……」
「藤咲さんの心ん中、俺でいっぱいにしたい」
──ドキッ。
……い、いや。なにこれ、おかしい。
ここでときめくのは、絶対におかしい。
「藤咲さんのこと、めちゃくちゃ欲しい」
ああ、なんて甘い声で私を求めるの。
そんな君の願いに応えることなんてできないのに。