不思議探偵アリス ~切り裂きジャックと赤の女王 ~

そこにいたのは、澄んだ青い瞳でこちらを見つめている美青年だった。

おっと......こ、これは予想以上

うっ、心臓の音がうるさい。

急いで彼から目をそらす。

なんで私こんなにドキドキしてるのよ......

も、もしかして......恋?

じゃあ、これが世に言う一目惚れってやつなの!?

ってことはやっぱり運命......!

やばい!本当に乙女ゲーム的なのが始まっちゃうよ!

と私が自分ひとりで盛り上がっていると

「大丈夫ですか?」

と彼の優しい声がした。

返事をしようともう一度彼の方へと視線を戻す。

っ......

私は目が合った瞬間、勢いよく彼の腕の中から飛び出してしまった。

なぜなら最初は気がつかなかったが顔の距離がとんでもなく近かったからだ。

整った顔に澄んだ青い瞳。

大きな白い帽子に金色の髪。

すらっとした長身に真っ白のスーツ。

普通の人では似合わない格好もこの人が着ると様になる。

素敵......

私はしばらくの間、彼から目を離せないでいた。

心臓が飛び出して来そうなほど激しく動いているのがわかる。

すると

「大丈夫ですか?」

と彼は不思議そうに私を見ながら言った。

あ!

私はやっと我に帰った。

あ、やばい!今、私バカみたいな顔してたかな?それとも変態的な顔?

んーどっちもいやだ!

最悪だ。

どんどん顔が熱くなってくる。

どうすればいい?

ご、誤魔化す?あなたを見てたんじゃなくて後ろの景色を見てて......ってトイレじゃん!

とにかくなんか言わなきゃ!

そうしなくちゃ私が見惚れてたってことがばれちゃう!

でも、下手なことを言ったらもっと印象悪くさせちゃうかも......

あーもう!なんで私はこんなにバカなのよ!

そう私が頭を抱えたままブツブツとつぶやいていると

「大丈夫そうでよかった」

そう言って彼は微笑んだ。

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