ガラスの境界、丘の向こう
 ママは不快そうに眉をひそめた。一方、パパは愉快そうにミセス・ハドソンが出て行ったドアを見つめた。
 眞奈は今、自分にされた態度をどう考えればいいのか戸惑った。

 オースティン校長先生はやれやれといった感じで、「申し訳ありません。失礼なことをしまして」と謝罪した。
 そしてミセス・ハドソンの代わりに答えた。
「少女の亡霊はブロンドの巻き毛のとてもかわいい女の子で、年代物の淡いグリーンのドレスを着ているらしいのよ。大昔、ウィストウハウスで若くして亡くなった女の子じゃないかといわれているわ」

「どうして亡霊になっているんですか?」

「そうね、どうしてかしら。そういえば、これからあなたの同級生になるマーカス・ウェントワースは小さい頃、少女の亡霊に会ったと言って、また会いたいからと幽霊探検倶楽部をつくっていたわね。興味があれば彼に聞いてみるといいわ」

 そうだ、眞奈はそのとき初めてマーカスの名前を聞いたのだ、亡霊に会ったことがある男の子として。

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