【短編】虹
「最初はバスケなんてもういいやって思ってた。でも、亜由が自分のせいだと思ってるような気がしたんだ。」


風ちゃんはすごいね…。


あたしのことわかりすぎだよ…。


「亜由の誤解を解くには安心させるしかないって思った。で、一番安心するのがもう一度バスケをすることなんじゃないかってさ。」


にっこりと微笑みながら言う風ちゃん。


優しいなぁ…。


「そうは思ったものの上手くいかなかったよ。高校卒業までかけてリハビリやら色々してさ…今大学でしてるってわけ。安心したか?」


あたしの目からまた涙が流れた。


でもこの涙はいつもとは違う。


安心…うれしい…


そんな前向きな涙…。


「おい…!泣くなって!」


今なら言える。


言えなかった言葉が…。


「風ちゃん…助けてくれてありがと…!ずっと言えなくてごめんね…!」


あたしの心の中の雨はやみ、今の気持ちが虹となってあらわれた。


もう…この時期に悲しい雨は降らない…


降るのはうれしい雨だけ。


そう…信じよう。


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