君の見る世界に僕がいた
~prologue~
遠くから聞こえる吹奏楽部の合奏の音。
野球部のかけ声と球の音。
独特の本の香りで充満する
オレンジ色の夕日に染まる図書室。
そこにふわりと笑う君がいた。
忙しない毎日の中から切り取られたあの場所で過ごす時間は僕の中で止まっていた何かをゆっくりと溶かしていった。
僕達だけしかいないんじゃないかと錯覚するようなあの場所と時間を壊したくなくて。
笑顔の裏に隠された君の苦悩に僕は気づけていただろうか。
あの満天の星空に輝く満月の夜。
君が発した「私、死んでもいいわ。」
それに僕はちゃんと答えていただろうか。
君を本当に守れていただろうか。
< 1 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop