浮気の定理-Answer-
気づけば、その声の主が僕に駆け寄り体を支えてくれている。


朦朧としながら、その人の顔を見ると、それは意外な訪問者だった。


「あれ?……清水さん?
どう……したんですか?」


夢でも見ているのかと思った。


ここにいるはずのない人が、今俺に寄り添い支えてくれている。


「あ……えっと……

いっ、飯島さんが風邪引いたってきいて、心配になって……薬とか、いろいろ買ってきたんですけど!」


そう言って僕のために買ってきてくれたらしいビニール袋を胸に押し付けてきた。


――僕のために?わざわざここまで?


熱のせいか息苦しさを感じながらも、どうにか笑顔を作ってありがとうと答える。


単純に嬉しかった。こんな風に自分のことを心配してくれる人なんか誰もいないと思ってたから。


「それじゃあ、帰りますね?

お大事にしてください」


ペコリとお辞儀をして帰ろうとする彼女を、僕は気づいたら引き止めてた。


「あの、ゴホッゴホッ……もし時間あるならお茶でも飲んでってください

せっかく来てくれたんだし……」

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