浮気の定理-Answer-
ありさもそんな俺にしっかり感じてくれていた。


いざ彼女の中に腰を沈めると、かすかに違和感を覚えた。


この間は不測の事態に気付かなかったけれど、今回は以前と同じ条件が揃っているからわかる。


ありさの初めては俺のはずで、だから彼女の中は俺の形にピッタリフィットしてた。


それが今日はなにか違うのだ。




「なんか……お前」




ピタっと動きを止めて、俺の下で息を弾ませているありさの顔をジッと見た。




「ど……したの?」




急に動きを止めた俺に、ありさは切なげな表情でそう言った。


避妊しなくていいといったありさ……


わかりきっていたかのような妊娠……


そして……今の違和感。


全てのピースがはまったかのように、俺の中で疑惑が確信に変わる。


綺麗になったと思ったのが、恋をしていたからだとしたら?


俺は、なんてバカなんだろう。


だけど、それでもありさを失うのは怖かった。


裏切られたと知っても、手離したくはなくて……


俺は罵りたい気持ちをグッと抑えて、ありさに言ったんだ。




「いや、なんでもない」



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