浮気の定理-Answer-
紗英が出ていってからもう一週間になる。


あれほど楽しみにしていた二人での生活は、あの女のせいで地獄のような日々だった。


狭いワンルームでしかも金もない状態で、最初は喜んでいた紗英もだんだんと変わっていった。


生活の変化に加えて体の変化もあったのだから当然といえば当然だったのかもしれない。


あれほど好きだと言ってくれていた同じ口からは、甘ったるく鼻にかかった可愛い言葉などもう聞くことはなく、代わりにヒステリックな金切り声と罵倒ばかりが聞こえてくる。


きっと紗英は俺が大人の男で、しも店も持っているから金もあると思っていたのだ。


実際は桃子に頼らなければ、店の経営もままならないような状態だったことなど知るはずもない。


邪魔な妻から俺を奪い取って、安定した生活をするつもりだったのだろう。


可愛らしい容姿とは真逆の打算的な1面を持っていたことにまったく気付かず、俺はただ若い彼女で桃子には持てなかった支配欲みたいなものを満たしていただけだったのかもしれない。

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