浮気の定理-Answer-
正面玄関から、外へと走る木下を目で追う。


建物の外に出てもなお、彼女は走るのを止めなかった。


ガラスの壁から見える彼女は、俺が追いかけてくるのを確認する余裕もないように、真っ直ぐに前を見つめて走ってる。


そのうち、彼女の姿は見えなくなった。


それを確認してから、俺はゆっくりとエレベーターの扉を閉める。


――まあ、まだ始まったばかりだ。


あの画像を送るのを、今日だけで止めるつもりなんかなかった。


木下が俺に抱いてほしいと言うくらいまで、毎日送り続けてやろうと思う。


さっきみたいに虚勢を張っていられるのは、いつまでだろうか?


屈伏して言いなりになる彼女を想像して、俺はククッと笑いを漏らす。


――お楽しみはこれからだ


久しぶりに、今夜は家で彼女の画像を眺めよう。


心置き無く眺めながら、頭の中で彼女と肌を重ねるのだ。


吸い付くような肌は滑らかに違いない。


さっきの彼女の頬の感触を思い出しながら、俺はあれこれ妄想する。


目を閉じて妄想しながら、俺は自分の唇をゆっくりと舐めた。

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