浮気の定理-Answer-
潤んだ瞳に思わずゴクリと唾を呑み込む。


俺はそれを悟られないように、わざとテンションを上げて返事をした。


「ほんとですか?

じゃあ常連同士、仲良くしましょうよ」


彼女は俺の言葉に嫌な顔をするどころか、誘うような笑顔を見せる。


「そうですね、ぜひ」


これは、好感触だと思った。


この女は確実に俺を誘ってる。


タイプではないけれど、充分可愛くて、なんといってもこの豊満な胸は捨てがたい。


木下を落とすには、まだ時間がかかりそうだった。


毎日、あの画像を送ってるっていうのに、最近はあの山本といそいそと帰ってしまう。


あいつだって木下を狙ってるのに、俺とどこが違うと言うんだろう?


いい加減、画像だけっていうのも飽き飽きしてたところだ。


木下じゃなくても、生身の女を抱けるのなら、ありがたい。


しばらく一緒に酒を飲み、気分がよくなってきたところで、俺は思いきって切り出した。


「あの、真由さん

良かったらこのあと、僕のうちで飲み直しませんか?」


彼女の様子からすれば、このままお持ち帰りも夢じゃないように思えた。

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